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就業規則の各種規定作成のポイント
1)服務規定と懲戒規定
服務規定とは、従業員が、企業の円滑な活動を維持するために、守らなければならない心得や事項を定めたものです。
大きく分けると、
「就業時間中は職務のみに専念し、他の活動は行わない義務」
「就業時間中は会社の利益を侵害する行為をしてはならない義務」
「会社の施設の使用については、使用者の管理に従う義務」
となります。
この義務を実際の項目に当てはめると、
- 「就労に関する項目」
- 「業務外活動に関する項目」
- 「施設保全に関する項目」
に分けることができます。
1. 「就労に関する項目」とは、具体的には
- 健康への留意
- 会社の名誉、信用を守る
- 勤務時間の厳守や私用外出等の届出・許可や業務中過失の報告
- 喫煙場所の遵守
- 職場の風紀秩序の維持
- 二重就労の禁止
- 金品収受の禁止
- 競合避止義務
- 会社の機密の保持 など
2. 「業務外活動に関する項目」
- 無許可集会や配布の禁止
- 政治・宗教活動への規制 など
3. 「施設保全に関する項目」
- 施設や物品を大切に使用すること
- 会社物品を外へ持ち出す際の許可 など
があげられますが、会社として守って欲しい項目があれば、常識内で自由に決めることができます。
懲戒規定とは、服務規程に違反した者に対するペナルティーです。
懲戒区分としては、軽い方から 譴責(ケンセキと読みます・・・ 一般には始末書を提出させる)、減給、出勤停止、停職、降格、諭旨退職、懲戒解雇があります。
懲戒の方法としての留意事項は、
- あらかじめ懲戒事由を、就業規則等にて具体的に定めておかなければならない
- 同一の違反行為において、過去の懲戒内容と同じでなければならない
- 懲戒区分は、服務規程違反の種類や内容等と照らして、相当でなければならない
- 懲戒規則等で制裁を決定する手続きが決められていれば、その手続きを経なければならない。
- 懲戒規定制定前の行為まで遡って制裁してはならない
- 1つの違反行為に対し、2回以上処分してはならない
です。
これら2つの規定は、実務上、最も重要で会社の裁量が発揮されやすい部分です。
つまり、服務規程と懲戒規定は表裏一体ですから、定めた服務規程の各項目の違反行為に対し、過去の会社の慣習や一般常識から考慮して、どのような制裁処分をすることが妥当なのかをあらかじめ決めておき、整合性がとれるようにしておくことが重要なのです。
仮に、自社にそぐわない部分があれば修正、追加することが必要性となります。
こちらも、実際に起こりえる事件を想定することが重要です。
じっくり吟味し、対処方法まで検討してみて下さい。
2)育児・介護休業等制度の概要
育児・介護休業法に義務づけられている制度には下記のものがあります。
(1)休業制度
【育児】
従業員が請求した場合。1歳未満の子を養育するための休業。子が1歳に達するまで(例外として1歳6ヶ月に達するまで→「平成17年4月改正の育児、介護休業法への対応」を参照下さい)
【介護】
従業員が請求した場合。従業員の配偶者、父母、子、同居している祖父母・兄弟姉妹・孫、配偶者の父母が、2週間以上にわたって要介護状態にある場合、その対象家族を介護するための休業。通算93日まで。
(2)時間外労働の制限
【育児】
従業員が請求した場合。小学校に入学するまでの子を養育する従業員について、1ヶ月24時間、1年150時間を越えて残業や休日労働させてはならない。1ヶ月以上1年以内の期間。
【介護】
従業員が請求した場合。従業員の配偶者、父母、子、同居している祖父母・兄弟姉妹・孫、配偶者の父母が、2週間以上にわたって要介護状態にある場合、その対象家族を介護する従業員について、1ヶ月24時間、1年150時間を越えて残業や休日労働させてはならない。1ヶ月以上1年以内の期間。
(3)深夜業の制限
【育児】
従業員が請求した場合。小学校に入学するまでの子を養育する従業員について、午後10時~午前5時まで労働させてはならない。1ヶ月以上6ヶ月以内の期間。
【介護】
従業員が請求した場合。従業員の配偶者、父母、子、同居している祖父母・兄弟姉妹・孫、配偶者の父母が、2週間以上にわたって要介護状態にある場合、その対象家族を介護する従業員について、午後10時~午前5時まで労働させてはならない。1ヶ月以上6ヶ月以内の期間。
(4)勤務時間の短縮等
【育児】
従業員が請求した場合。3歳未満の子を養育する従業員について、下記のいずれかの措置をとらなければなりません。
- 短時間勤務の制度
- フレックスタイム制
- 始業、終業時刻の繰上げ、繰下げ
- 所定労働時間をさせない制度
- 託児施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与
【介護】
従業員が請求した場合。従業員の配偶者、父母、子、同居している祖父母・兄弟姉妹・孫、配偶者の父母が、2週間以上にわたって要介護状態にある場合、その対象家族を介護する従業員について、下記のいずれかの措置をとらなければなりません。
- 短時間勤務の制度
- フレックスタイム制
- 始業、終業時刻の繰上げ、繰下げ
- 所定労働時間をさせない制度
(5)看護休暇
【育児】
従業員が請求した場合。小学校に入学するまでの子を養育する従業員について、一の年度において5労働日を限度として、負傷し、または疾病にかかったその子の世話を行うための休暇。
育児・介護休業等規定には、
- 目 的
- 対象者
- 休業の申出の手続等
- 休業の申出の撤回等
- 休業の期間等
- 賃金等の取扱い
- 社会保険料の取扱い
- 教育訓線
- 復職後の取扱い
- 年次有給休暇
- 深夜業の制限
- 短時間勤務
- 時間外労働の制限
などを細かく記載する必要があります。
3) 平成17年4月改正の育児、介護休業法への対応
平成17年4月から、育児・介護休業法は一部変更されました。
育児休業等規程、介護休業等規定を作成されている会社は早急に変更する必要があります。
主な変更ポイントは下記の5つです。
(1)育児休業・介護休業の対象者の拡大
詳細は後述します。(※)
(2)育児休業期間の延長
これまでは1歳を限度としてきた育児休業期間を、保育所に入所できない等の一定の場合には、その時点で再申請し1歳6ヶ月まで取得可能とする。
(3)看護休暇の義務
小学校に入学までの子を養育する従業員(期間雇用者含む)は、申し出ることに傷病にかかった子の世話をするための 看護休暇を年に5日取得できる。
ただし、継続雇用6カ月未満の従業員等で労使協定で看護休暇を取得できないものとして定めることも可能。
(4)介護休業取得回数の柔軟化
対象家族1人につき原則1回のところ、要介護状態ごとに1回、通算93日まで介護休業を取得で
きる。
(5)期間雇用者への介護休業の適用
以下のすべての条件を満たす期間雇用者は介護休業を取得することができます。
- 申出時点において、継続雇用期間が1年以上あること
- 介護休業開始日から起算して93日を経過する日を超えて雇用の継続が見込まれること。
ただし、申出時点において、介護休業 開始日から93日を経過する目から1年後までに雇用関係が終了することが明らかである場合は取得できません。
※現在は、日々雇用者や期間雇用者は対象外とされております。今後は、期間雇用者の内、下記の条件を満たす従業員が加えて対象となります。
- 申出時点において、継続雇用期間が1年以上あること
- 【育児休業の場合】
子が1歳に達する日を超えて雇用が継続することが見込まれること
ただし、申出時点において子が1歳に達する日から1年後(=2歳)までに雇用関係が終了することが明らかである場合は対象となりません。
【介護休業の場合】
介護休業開始予定日から93日後以降も雇用が見込まれること
ただし、93日を経過した日から1年以内に雇用関係が終了することが明らかである場合は対象となりません。
会社にとって最も影響が大きく関心が高いと思われるのは、この育児休業・介護休業の対象者の拡大
ではないでしょうか。
合理化の一環としてパートタイマー、契約社員、嘱託社員を活用されているため、今後、相当数の休業
取得者が増えるものと思われます。
期間雇用者については、契約更新について合理的な説明と管理、運用が重要になってきます。
育児休業等の申出がなされてはじめて、その従業員の契約更新についてどうであったかを実態判断していては遅いと思われます。
4) 賃金規定のポイント
賃金規定を作成する上で検討しなければならない事項はたくさんあります。
主なものを記載します。
(1)各種手当の計算は残業代におおきく関わってきます
残業代を計算する1時間当りの単価の計算方法は、月給制の場合、1ヶ月の基礎賃金を、1年をとおした1ヶ月平均の所定労働時間で割った値となります。
そこで問題となるのが、どの手当を含めた金額を基礎賃金とするかについてです。
労働基準法上、仕事に関係ない手当以外は全て含めます。
具体的には、
- 通勤手当
- 家族手当
- 別居手当
- 子女教育手当
- 臨時に支払われた賃金(見舞金、退職金等)
- 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(ボーナス等)
- 住宅手当
ただし、「通勤手当」や「住宅手当」において、一定の距離または住宅形態ごとに一律で支払う場合は、
残業代の基礎賃金に含めなくてはならなくなります。
従って、賃金規定を作成する際は、手当の支給方法を十分考える必要があります。
(2)管理監督者の役付手当の規定方法は大事です
管理若しくは管理の地位にある者については、労働時間、休憩および休日の規定は適用されません。
従って、管理監督者には、残業代は払わなくてもいいのです。
問題は、どんな人は管理監督者といえるのでしょうか。
一般的には、労働条件の決定その他の労務管理について経営者と一体的な立場にある人のことをいい、名称ではなく、実体で判断されます。
具体的には、一般的に、下記のような場合は管理監督者とはみなされないようです。
- 職務内容や裁量の権限がなく、勤務時間も管理されていた
- 出退勤は自由ではない など
このような場合、役付手当の扱いをどうするかが、賃金規定を作成する上で重要です。
ポイントは、
- 役付手当は、残業代の算定賃金に含めるのかどうか
(含めないならば、明確に記載しておく必要があります。)
- 役付手当は、残業代の一部とするのかどうか。
(残業代の一部とするならば、明確に記載しておく必要があります。)
(3)ボーナス支給項目は重要です
ボーナス支給日前に退職した従業員にボーナスを払う必要はあるのでしょうか。
結論、就業規則に、
- 特に規定がない場合 ⇒ 払わなければならない可能性大!
- 支給日在籍者に支給する旨の規定がある場合 ⇒ 払う必要はありません!
ボーナスに関する規定については、上以外にも、入社直後の人はどうするのか、休職中や休職期間がある人はどうするかなど、要検討項目は数多くあります。
5) 年次有給休暇
就業規則を作成する上で、社長と一番問題になる項目です。
【年次有給休暇の要件と日数】
●採用から6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上勤務した従業員に権利が発生します。
| 継続勤務年数 |
0.5超 |
1.5 |
2.5 |
3.5 |
4.5 |
5.5 |
6.5 |
7.5 |
8.5 |
9.5 |
10.5年以降 |
| 付与基準日到来回数 |
0 |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10回以降 |
| 付与日数 |
10 |
11 |
12 |
14 |
16 |
18 |
20 |
20 |
20 |
20 |
20日 |
ただし、
- 1週間の所定労働時間が30時間未満で1週間の所定労働日数が4日以下 または、
- 1週間の所定労働時間が30時間未満で1年の所定労働日数が216日以下
の従業員については、一般の従業員より少ない日数となります。
"比例付与" といいます。
| 継続勤務年数 |
0.5超 |
1.5 |
2.5 |
3.5 |
4.5 |
5.5 |
6.5年以降 |
| 付与基準日到来回数 |
0 |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6回以降 |
| 付与日数 |
週所定労働日数 |
1日 |
1年間所定労働日数 |
48日~ |
0 |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6回以降 |
| 2日 |
73日~ |
0 |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6回以降 |
| 3日 |
121日~ |
0 |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6回以降 |
| 4日 |
169日~
216日 |
0 |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6回以降 |
<ポイント>
就業規則上、"比例付与"が記載されていないことがあります。
その場合、短時間従業員にも、正社員と同日数の年次有給休暇を与えなくてはならない可能性がでてきます。
その他、就業規則上、年次有給休暇の項目で気をつけないといけないこと
- 半日有給休暇制度
(子供の送り迎え、病院への診断、銀行への立ち寄り等非常に便利な制度で、会社によりますが、従業員のモチベーションを高める効果もあります。)
- 年次有給休暇取得手続きの記載
(手続き事項が書かれていない就業規則があります。余り厳しくしすぎると、事実的に有給を取得できなくなる可能性もあり、トラブルになりかねません。これまでの、実績と社風や取得目的などを考慮することが重要です。「年次有給休暇取得社内規定」の作成をおすすめします。)
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