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就業規則の時間外労働削減のポイント








1)変形労働時間制
変形労働時間制には様々なものがあります。主なものを下記に解説致します。

(1)1年単位の変形労働時間制
1年単位の変形労働時間制は、1ヶ月を超え1年以内の期間を定め、その期間を平均し、週の平均所定労働時間を40時間以内にて労働時間を調整することができる制度です。

40時間× 変形期間の日数÷7日

ただし、1日10時間以内、週52時間以内などといった細かい条件があります。
労働者代表者と労使協定を結んで労働基準監督署へ届出ることで導入できます。
従って、実務上では、労働日数や労働時間を調整して年間カレンダーを労使協定と併せて作成するケースが一般的です。
季節的に繁閑の時期がある程度決っている業種には大変有効な制度です。忙しい時期は労働時間を増やし、比較的暇な時期はその分労働時間を減らすことで、残業時間を減らす効果があります。

≪労使協定作成のポイント≫
  1. 労使協定に記載する事項
    • 対象となる労働者の範囲
      対象が明確であれば、同じ事業所で複数の1年単位の変形労働時間制を採用することも可能です。ただし、それぞれに労使協定を締結する必要があります。)
    • 対象期間および起算日
    • 特定期間
      対象期間中、特に忙しい時期をいいます。他の期間との違いは、連続労働可能日数にあります。通常の期間は、連続労働日数は6日以内と限定されておりますが、特定期間を設定することによって、1週間に1日の休日を確保する範囲内で労働日を設定することができます。(最大12日となります。)
      1週間 1週間

    • 対象期間における労働日および労働日ごとの労働時間
      原則として、対象期間のすべての労働日と労働時間を定めておきます。
      一般的には、年間カレンダーを作成することが多いです。
    • 有効期間
      一般的には、1年間とすることが多いです。

  2. 労使協定を労働基準監督署へ届出

(2)1ヶ月単位の変形労働時間制
1ヶ月単位の変形労働時間制は、1週間を超え1ヶ月以内の期間を定め、その期間を平均し、週の平均所定労働時間を40時間(44時間)以内にて労働時間を調整することができる制度です。

40時間(44時間)× 変形期間の日数÷7日

労働者代表者と労使協定を結んで労働基準監督署へ届け出るか就業規則に記載することで導入できます。
従って、実務上では、就業規則に定めておいた方が手続きが簡素化されます。
特にサービス業など、設定した期間ごとに営業日や営業時間を柔軟に対応することができ、残業時間を減らす効果があります。

≪労使協定作成のポイント≫
  1. 労使協定に記載する事項
    • 変形期間
      1ヶ月以内であれば、例えば、2週間、4週間とすることも可能です。
    • 変形期間の起算日
      例えば、「〇〇年4月1日から」「〇〇年4月の第1月曜日から」など。
    • 変形期間を平均し、1週間当りの労働時間が40時間(44時間)を超えない定め
    • 変形期間における、休日、各労働日の始業・終業・休憩開始時刻と休憩時間の定め

  2. 労使協定を労働基準監督署へ提出

(3)1週間単位の非定形的変形労働時間制
1週間単位の非定形的変形労働時間制は、1日を超え1週間以内の期間を定め、その期間を平均し、週の平均所定労働時間を40時間以内にて労働時間を調整することで、一日の所定労働時間を10時間まで延長することができる制度で、短期間サイクルで一日の所定労働時間を長くしたり短くしたりすることができ、残業時間を減らす効果があります。
ただし、従業員数30人未満の小売業、旅館、料理店、飲食店のみが適用対象です。
1週間の労働日と労働時間は、遅くとも前の週末までに書面で通知することとなります。
労働者代表者と労使協定を結んで労働基準監督署へ届け出ることで導入できます。

(4)フレックスタイム制
フレックスタイム制は、始業および終業時刻を従業員が決定する制度です。
就業規則および労働者代表者との労使協定を結ぶことで導入することができます。
一般的には、賃金の締め日を基準とする1ヶ月単位(清算期間)で実施することが多いのですが、清算期間内での所定労働時間は、週の平均所定労働時間を40時間(44時間)以内と計算します。

40時間(44時間)×清算期間の暦日数÷7日

フレックスタイム制導入の効果は、
  • 業務の繁閑にあわせて始業・就業時刻を自分で決めて、労働時間を有効に活用できる
  • 労働時間を自主的に管理することで、仕事への責任感や達成意欲の向上などが期待できる
  • 従業員が私のバランスのとれた生活を実現でき、ストレスを減らす効果も期待できる   など
自分で時間を調整できる職種においては、残業時間を減らす効果を期待できます。

≪労使協定作成のポイント≫
  1. 労使協定に記載する事項
    • 始業および終業時刻を労働者の決定にゆだねる旨
      一般的には、コアタイム、フレキシブルタイムを設定することが多いのですが、その場合は、就業規則に規定しておく必要があります。
    • 対象となる労働者の範囲
    • 清算期間およびその起算日
      1ヶ月以内であれば、例えば、15日でも4週間でもいいのですが、実務上、給料締日単位のため、1ヶ月が一般的です。
    • 清算期間における総労働時間
    • 標準となる1日の労働時間
      年次有給休暇取得時の賃金算定の基礎とするためです。
    • コアタイムやフレキシブルタイムの各時間帯の開始および終了時刻
      かならずしも、コアタイムやフレキシブルタイムを定める必要はありません。任意です。

  2. 労使協定を労働基準監督署へ届け出る必要はありません




2)みなし労働時間制

(1)専門業務型裁量労働制
専門業務型裁量労働制は、下記の専門的な業種で、労働時間の把握が難しい場合、従業員代表者と労使協定を結び、労働基準監督署へ届け出ることで導入できます。

【主な対象業務】
  • 新商品、新技術の開発
  • 情報処理システム分析、設計
  • 新聞、出版、放送番組制作の取材、編集
  • 衣服、室内装飾、工業製品、広告等のデザイン考案
  • 放送番組、映画等のプロデューサー、ディレクター
  • コピーライター
  • 公認会計士、弁護士、建築士、不動産鑑定士、弁理士、税理士、中小企業診断士の業務
  • 業務の中心が研究の業務である大学の教授、助教授又は講師

上記のように定型的業務でなく、考えることに時間を費やす業種においては、労働時間とそれ以外の時間との区別が難しいことから、この制度があります。
労使協定で決めた労働時間を超えた分のみ残業時間となるため、残業時間を減らす効果が期待できる可能性があります。

≪労使協定作成のポイント≫
  1. 労使協定に記載する事項
    • 対象業務
      例えば、研究室における緩急開発業務に従事する者、とか、情報処理室における情報処理システムの設計業務に従事する者  など
    • 業務遂行の手段や時間配分決定を、労働者に対し、具体的指示をしないこと
    • 業務遂行に必要な1日当りの労働時間
    • 健康・福祉を確保するための措置
      具体的には、
      • タイムカードの記録により、在社時間を把握したり、定期的に健康状態を報告などにより、必要に応じて下記の措置を実施
        • 勤務状況及びその健康状態に応じて、代償休日又は特別な休暇の付与
        • 勤務状況及びその健康状態に応じて、健康診断の実施
        • 年次有給休暇取得の促進
        • 相談窓口の設置
        • 必要な場合には適切な部署に配置転換
        • 必要に応じて、産業医等による助言、指導または保健指導    など
    • 苦情の処理のため実施する措置
      具体的には、苦情の申出の窓口及び担当者、取り扱う苦情の範囲(評価制度、賃金制度及びこれらに付随する事項など)、処理の手順・方法等を明らかにすることが考えられます。
    • 健康・福祉を確保および苦情の処理関し、労働者ごとに講じた措置の記録を協定の有効期間及びその期間満了後3年間保存すること
    • 有効期間

  2. 労使協定を労働基準監督署へ届出

(2)事業場外労働のみなし労働時間制
事業場外労働のみなし労働時間制は、事業場外で仕事し、監督者の具体的指示が及ばないため、労働時間の把握が難しい場合、従業員代表者と対象業務、1日当りの労働時間数、有効期間などを労使協定を結び、必要に応じて労働基準監督署へ届け出ることで導入できます。
一般的には、営業職でよく使われております。
ただし、事業場外労働といえども、下記のような場合は、適用されません。

  • グループで事業場外の仕事をし、そのグループ内に労働時間の管理をする人がいる場合
  • 事業場外で仕事をするが、携帯電話などで随時指示を受けながらの場合
  • 事業場外に出る前に、訪問先、貴社時刻、業務内容の具体的を指示を受けており、その指示通りに仕事をして帰社した場合

労使協定で決めた労働時間を超えた分のみ残業時間となるため、残業時間を減らす効果が期待できる可能性があります。

≪労使協定作成のポイント≫
  1. 労使協定に記載する事項
    • 適用対象者
      例えば、営業部所属する者で、主に、事業場外での訪問そのた営業活動に従事する場合   など
    • みなし労働時間
      1日の事業場外に従事する時間数を協定します。労働時間の一部を事業場内で業務する場合も含めた時間を協定することはできません。
    • 有効期間の定め

  2. 労使協定を労働基準監督署へ届出する場合としない場合
       届出する場合 → 労使協定で定める時間が法定労働時間(8時間)を超える場合
       届出しない場合 → 労使協定で定める時間が法定労働時間(8時間)以下の場合

(3)企画業務型裁量労働制
企画業務型裁量労働制は、事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務や、業務遂行の方法、時間配分などについて具体的な指示をしない業務が対象となります。
一般的には、本社、支社の事務部門の管理業務によく使われております。
労使委員会の決議を労働基準監督署に届け出ることで導入できます。
労使委員会とは原則、労使半数ずつで構成され、5分の4以上の多数決で決議されるものです。
労使委員会で決めた労働時間を超えた分のみ残業時間となるため、残業時間を減らす効果が期待できる可能性があります。
ただし、本社における業務であっても経理業務、給与計算業務のように定型的な業務、調査、分析に関する業務であっても単に集計等を行う業務などは対象とはなりません。また、派遣労働者に適用することもできません。

≪労使協定作成のポイント≫
  1. 労使委員会で決議する事項
    • 対象業務
      例えば、経理部で財務に関する計画を策定する業務、とか、広報部で広報を企画・立案する業務  など
    • 対象労働者
    • 1日当りのみなし労働時間
    • 健康・福祉を確保するための措置
      具体的には、
      • タイムカードの記録により、在社時間を把握したり、定期的に健康状態を報告 など
        により、必要に応じて下記の措置を実施
        • 勤務状況及びその健康状態に応じて、代償休日又は特別な休暇の付与
        • 勤務状況及びその健康状態に応じて、健康診断の実施
        • 年次有給休暇取得の促進
        • 相談窓口の設置
        • 必要な場合には適切な部署に配置転換
        • 必要に応じて、産業医等による助言、指導または保健指導    など
    • 苦情の処理のため実施する措置
      具体的には、苦情の申出の窓口及び担当者、取り扱う苦情の範囲(評価制度、賃金制度及びこれらに付随する事項など)、処理の手順・方法等を明らかにすることが考えられます。
    • 健康・福祉を確保および苦情の処理関し、労働者ごとに講じた措置の記録を協定の有効期間及びその期間満了後3年間保存すること
    • みなし労働時間について労働者の同意を得ること
    • 有効期間

  2. 労使委員会で決議した内容をすみやかに労働基準監督署へ届出

  3. 上記の届出後、6ヶ月以内ごとに、下記の項目について定期報告をします。
    • 対象労働者の労働時間の状況
    • 健康および福祉を確保するための措置の実施状況




3) 振替休日制
振替休日とは、あらかじめ休日とした日に労働させ、代わりに他の労働日を休日とすることができる制度です。
この制度を導入するには、
  • 振替をおこなう具体的事由や振替日の指定方法が定められており
  • 遅くとも振り返られる休日の前日までに通知し
  • 4週間に4日以上の休日が確保でき
  • 従業員の同意があること

<振替休日と代休との違いの具体例>
当初、土曜日を所定休日、日曜日を法定休日としていた場合、その週の水曜日を休日とし、土曜日を労働日とし、両日とも、残業をしなかった場
  • 振替休日を適用する場合 → 割増賃金は発生しません。
  • 振替休日を適用されない場合(代休)→通常賃金×8h×1.25 の割増賃金の発生
※仮に、通常賃金2,000円/hの場合、振替休日と代休とでは、
  • 振替休日の場合→割増賃金0円
  • 代休の場合→ 2,000円×8時間×1.25=20,000円
1回の休日の振替で、こんなにも人件費が違ってきます。





4) 定額残業制
「うちの会社は月給制で、どんなに仕事しても残業代は発生しません」と言われる会社があります。
しかし、法律上は、管理監督者でない限り、原則、1日8時間、1週間40時間を越えた労働時間に関しては、割増賃金が発生します。管理監督者でも深夜労働に関しては適用されます。

法律的には問題あるのですが、長年そのような形態で勤務しており、実際の時間外労働もそんなにない、そして、(これが一番重要なのですが)従業員の皆がそれで納得しているような状況で、何らかのきっかけで労働基準監督署からサービス残業で是正勧告を受けてしまったという事例があります。
この場合、会社も困るし、従業員も困ることになります。

このような事態を防ぐためのひとつの方法として、定額残業制の導入が考えられます。
(状況によって導入できない場合もあります。)
だいたいの1ヶ月の実際の残業時間をあらかじめ賃金支給額に含める方法です。
<例> 
基本給300,000円(その他の手当なし)、1ヶ月の平均所定労働時間171時間、
1ヶ月の残業時間を20時間とした場合
⇒ 基本給261,735円+残業代38,266円

※実際には、各種手当の取り扱い等も考慮して計算したり、退職金が基本給連動型の場合は、そちらも考慮したりなど、多方面を検討する必要があります。






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